テテレスタイ

特捜部Q カルテ番号64のテテレスタイのネタバレレビュー・内容・結末

特捜部Q カルテ番号64(2018年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

映画の終盤、川を航行する船の上で、一人の老女が自分を苦しめた三人に復讐を果たしたこと、そして最後の一人への復讐は思いとどまったことを告白した。

愛しい人との再会によって愛を取り戻せたことが彼女を思いとどまらせた。もしもイスラム教が目には目をで、キリスト教が愛なのだとしたら、彼女の心の中にはイスラム教とキリスト教が混在して息づいていることになる。

彼女は若い時に地獄を体験し、そしてその後、愛に満ちあふれ人生を生き、まるで天国のような時間を過ごせた。地獄の中では異性との交わりだけでなく、同性との交わりも体験した。

この映画はデンマークが舞台だが、彼女は復讐を果たした後、スペインで暮らし、そして今、ドイツ経由で故郷に戻ってきており、川を航行する船の上にいる。ステュクス川はこの世とあの世の境界に流れる川であり、彼女は生と死の境界を越えた。

もしも、彼女を一言で言い表すとしたら、ボーダレス。
しかし、越えてよい境界と、越えてはいけない境界があった。

彼女が越えてはいけない最後の境界を越えてしまったのは、借りていた無人の部屋の境界(壁)が越えられてしまったから。

そして、あの悪魔のような医師は20世紀の亡霊であり、20世紀と21世紀の境界を越えてはいけない存在だった。

この映画の主人公は刑事で、その相棒は部門の境界をまたいで別部門へ異動しようとしていた。最終的に、主人公は相棒に異動を取りやめて欲しいと頼んだ。

越えてはいけない境界がある。それがこの映画のテーマだと思う。