くもすけ

ザ・ライダーのくもすけのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・ライダー(2017年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

■カウボーイ
主人公はそれ以外なにもなさそうな街のロデオショーの人気賞金稼ぎなのだが、終始憂鬱な面持ち。視点は主人公にぴったりはりついて、トレーラーハウスと地元いつメンのコミュニティを往復する。頭の生々しい縫い後が手の痺れ、解けない握り、吐き気を催しながら、手綱と鞍にしがみついて振り落とされないように、ライドにまつわるしぐさに取り憑かれている。

といってもかつての西部劇とは様子が違い、馬には乗るけど行く宛はなく、銃は出てくるけど屠殺用だし、その腕前はスーパーでのバイト中商品カウンターで手習いする様子が伺えるだけ。牧場あらしも女をめぐるドラマもなく、怪我と金策に頭を悩ませ、ただばらばらの人間が勝手にライドして壊れていく。

監督は2015処女長編で取材した牧場でブレイディに出会い、乗馬を教えてもらった。彼を映画に出したいと思っていたところ、ブレイディの落馬事故の知らせを受けて映画化を決意し、彼のためにシナリオ(というかほぼ実話)を書いたとのこと。
ブレイディは本名Brady Jandreauといい、映画に出てくる家族も実の父と妹。ブレイディが再三見舞いをするロデオで怪我をしたLane Scottも本人として出演している。

■全米最貧困地域
オグララ族、シチャング族の居住するサウスダコタ州の「パインリッジ・インディアン保留地」は、全米でも最貧困の地域として知られている。

父が出入りしてた保留地カジノは非常に慎ましい代物。全米400箇所以上あるインディアンカジノの収益は2016には全米商業カジノの総収益を抜き、2018には過去最高を記録。カジノの収益は医療、住居、福祉など生活資金に還元され、儀式や伝統家屋再現にも使われるが、成功しているのは全体の三分の一以下。成功の可否は立地に左右され、地元民しか来ないカジノは入り浸りのパチンコ化しやすい。

■ロデオ
ロデオという言葉は、馬や牛にまたがるものだけではなく、子牛を追いかけロープをかける競技などいくつもの競技からなっているスポーツ競技の大会の総称だそうな。
跳ねる牛馬に8秒間乗るラフストックはロデオの最人気演目だが、非常に危険ゆえ技術が必要で、8秒間の乗り方と馬の跳ね具合を100点満点で採点する。
おもに3つ種類があり、鞍がない跳ねる馬に乗るベアバック、鞍が付いた馬に乗るサドル・ブロンコ、跳ねる牛に乗るブル。ブル・ライディングが最人気でロデオの大トリを飾る。たぶん一生縁がない世界
http://www.realwestern.jp/rodeo/events/index.html