キモサベ

ザ・ライダーのキモサベのレビュー・感想・評価

ザ・ライダー(2017年製作の映画)
3.4
西部劇ジャンルにしては、突出して高い“スコア”・・・なぁ~んだ、
「ノマドランド」(2021年)のクロエ・ジャオ監督さんじゃないですか
で、鑑賞することに

さて、のっけから西部劇と書いてしまいました
う~ん、でもちと違うなぁ

監督さんはきっと「ノマドランド」と同様、今のアメリカを描く中で“たまたま切り撮られた”のがロデオカウボーイの世界だったのではないでしょうか
その結果として、失われゆく西部、あるいは失われゆくカウボーイが浮き彫りにされた・・・“今も”紛れもなく存在するのだと

ただ、そんなことを感じながら観ていて思ったのです
失われゆく・・・なんて書いてしまいましたけど、そんな世界は本作が作られる、はるか“40年以上も前”に存在していたことを
それは、サム・ペキンパー監督の「ジュニア・ボナー/華麗なる挑戦 」(1972年)・・・ロデオを生業とする男の物語でした

物語や展開こそ異なりますが、ブレイディの心情なんて、あの大スター、スティーヴ・マックィーンがとっくに演じていたんです
ですから、失われ・・・てなんかいなかったんですよ
“まんま”・・・なぁ~んも変わっちゃいないんです
※脱線 すみません、変わったと言えば・・・スーパーでバイトするブレイディ、頭の傷をラップでぐるぐる巻きにしてシャワー浴びるブレイディ・・・こんな“カッチョ悪い”カウボーイを見たのはお初ですけど(笑)

クロエ・ジャオ監督さん、観てるんじゃないのかな、この「ジュニア・ボナー」を(そんな気がしてなりません)
周りから見たアメリカ、それと内側から見たアメリカ・・・そんな異なる目線を中国の女流監督さんからは感じるのでした
変わるもの、変わらないもの、変えられないもの・・・

最後に
ラストで彼が可愛がっている愛馬のアポロが脚に怪我をして・・・のシーン
“あの”銃声は、同じ境遇のブレイディには自分に向けられたも同然・・・胸が痛くなる名シーンとなりました
キモサベ

キモサベ