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ザ・ライダーのAPlaceInTheSunのレビュー・感想・評価

ザ・ライダー(2017年製作の映画)
5.0
【『ノマドランド』公開直前に2回目の鑑賞】
※とりあえず書きなぐり後で修整

ロデオ馬のアポロは足の怪我をしたから安楽死させられた。カウボーイはロデオが出来なくなった今、どうすれば良いのか。生きる意味はあるのか。

アメリカ西部の草原を逞しい馬に乗ったカウボーイが駆けるという、古き良きアメリカ映画的な美を絵で見せる一方、
かつては、アメリカ男性のマッチョイズムの象徴であった、カウボーイ・ロデオに取りつかれた青年を現代的な視点で描いている。
アメリカン・ヒーローの在り方や、強い男性性みたいなものが問い直されている今、ここに登場する青年達は時代の変化に取り残された者達なのか。
依然として残るホモソーシャルな仲間間のやり取りに無理しつつ同調する彼らを愚かな男達だと断罪するのではなく、どこか慈しみや優しい眼差しでクロエ・ジャオ監督は描いている。

主人公や周りの仲間を、実際にロデオをやっている人達に演じさせる事でプロパーの俳優には出せない、ドキュメンタリーと劇映画の良い所取りのような味わいが出ている。



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大怪我を負ったカウボーイが新たなアイデンティティや生きる意味を見いだすまでの物語を、モデルとなった人物が主演を務め映画化したヒューマンドラマ。アメリカ中西部のサウスダコタ州。カウボーイの青年ブレイディは、事故で頭部に大怪我を負ってしまう。ロデオ復帰への捨てきれない思いと後遺症との間で葛藤しながら、自分の生きる意味を探し求めるブレイディだったが……。主人公のみならず、彼を取り巻く登場人物にも本人たちを起用。中国出身の新鋭クロエ・ジャオが監督・脚本を手がけ、第53回全米映画批評家協会賞と第28回ゴッサム・インディペンデント映画賞でいずれも作品賞を受賞した。【映画.comより】

彼の所作や表情をとても丁寧に撮ったり、アメリカ西部の美しい風景を映し出す事で詩的で、どこかクラシカルな雰囲気を持つ作品となっている。

(友人レインと主人公の関係性を観て思い出したのは、井上雄彦の漫画「リアル」における主人公の戸川とヤマを思い出した。)

暴れ馬を主人公が徐々に手懐ける過程、知恵が遅れているの妹とのやり取り、入院中の友人レインを訪れるシーン、ケガをした馬との別れ。
大作映画的な派手さはないが、豊かな感情が画面から溢れる場面だらけ。

あ、そうラストも。
レースに出るのか出ないのか、という選択は単純に引き込まれた。彼は自分を見つめ直し、人生と折り合いを付け、また歩き始める。
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