柏エシディシ

ソウル・キッチンの柏エシディシのレビュー・感想・評価

ソウル・キッチン(2009年製作の映画)
4.0
こんなレストランがあったら、是非とも通いたい。
ファティ・アキンの新作「ラインゴールド」に向けて、何となく観たくなり録画を引っ張り出して。
シリアスな題材が多いファティ・アキンだが、本作の一貫した陽性のトーンは今も大好き過ぎる。
どんなに凄惨な物語でも、人間讃歌というか、人に対する絶対的な慈しみや肯定のヴァイブスをこの監督の作品にはいつも感じる。そのエッセンスの様な映画だ。
サッカーの代表チームやファティ・アキンの映画で額面のドイツとは違う"移民たちのドイツ"を知る様になったと思う。
そこに希望や可能性も見いだせた時代。
あれから10年以上経ち、それほど世界は簡単でもないと実感しつつも、その延長線上に私達の時代はあると思い出したい。
様々な食材が独特な調理方法やアイデアで美味しく生まれ変わる様に、国や文化も思わぬミキシングやちょっとした刺激で、変化して前進していくものだと思う。
その軋轢と葛藤に向き合い続ける監督が、そこに率直な希望と愛を表明している一本。
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