チーズマン

映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン ~失われたひろし~のチーズマンのレビュー・感想・評価

3.7
ヒロシとミサエの夫婦の愛が試されるというのが題材になっていて新鮮でした。

あの時はお金も無かったし新婚旅行に行けなかったんだよな、という序盤のヒロシとミサエの2人の背中が強調されるシーンのほろ苦さがこれまでのシリーズとは違ったテイストを予感させてくれてるようでもありとても印象に残りました。

で、そのテーマがおそらく最初に決まり、それを描くのにに都合の良いように敵集団及び障害物をおそらく設定してるため突っ込みどころが満載で、悪役に関しては劇場版クレしんシリーズでも屈指のぼんやり具合でこれはどうにもフォローできないところはあります。
色々とどうでもよすぎる適当さで、観てて厳しいものがあります。
トレジャー・ハンターってそういう人達だろうか?というのもありますしね。
あと、途中でだいたい予想がつくラスボスについて滅茶苦茶だろうと言わるを得ないですね。

しかし、それを補って余りあるシーンの数々も確かにあり、あ、これは観て良かったなと思える作品でした。
初めは、父親や母親というくくりから離れて夫婦という関係性をあらためて描くのかと思いきや、いいや切り離せない、夫婦である事と親であることその幸せはイコールなのだという野原一家の新婚旅行には物語の勢いも相まってジーンとくるものがありましたね。
その後のエンドクレジットとかを観ていて、1番最初は子供向けのおバカな物語を描いていたはずなのに次第に毎年毎年あくまで一般家庭の一家族の目線でその年代の“何か”を描いてるクレしん映画の意義みたいなものについて思いを馳せてしまい、なんだか感慨深いものがありました。
これって今や他に変えの効かないアニメシリーズなのかなと。

欲を言えば、雑な部分は本当に雑だったので、例えば原恵一監督ならば、どうしただろうと、傑作になったんじゃないかとついつい思ってしまうぐらい勿体ない部分と良かった部分がある作品でした。

ちなみにマッドマックス怒りのデスロードオマージュの感じはそのまんま過ぎて笑ってしまいました、楽しくて。
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