Laura

フットライト・パレードのLauraのレビュー・感想・評価

フットライト・パレード(1933年製作の映画)
3.5
最初から最後まで躁状態の映画。プレコードの映画は沢山あっても、当時のアメリカの映画産業そのもののエネルギーをこれほどまで映しだしている作品は珍しいだろう。トーキーの出現により新たなエンタメの形の創出を迫られるブロードウェイの演出家の話。舞台と映画、ブロードウェイとハリウッドという二つの文化が、どちらが勝者というのではなく、20世紀のエンタメの両輪であったことが分かる。歌ありダンスありギャグシーンあり、細かい演出も心理描写もそっちのけのパワフルな進行。キャグニーのキビキビとした台詞回しが展開のスピードに貢献している。水中レビューも技術的に素晴らしいのだが、やはり上海リルに極まる東洋の退廃美が白眉だ。そして星条旗とルーズベルトの肖像に象徴される、20世紀の覇者としてのアメリカの姿。その物語をキャグニーは10年後の『ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ』で再び演じることになるだろう。
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