安堵霊タラコフスキー

ジャネットの安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

ジャネット(2017年製作の映画)
3.7
鑑賞するか悩んでいた作品ながら、やはり予告編が気に入ったので初めてブリュノ・デュモン作品の為に劇場へ足を運ぶこととしたのだけど、残念ながら予告編で感じた良さはあまり感じられない内容となっていた。

というのも予告からはストローブ=ユイレのモーゼとアロンみたいな頭おかしい奇作が強く感じられたのに、全体としては意外と普通の会話パートも多くて正気を保っていた感もあり、ぶっ飛んだものを欲していた身としては物足りなさも覚えてしまった。

流れる音楽がデスメタル的だったりエレクトロニカ的だったりして、それに合わせてヘッドバンギングをめっちゃしてた点とかは似合わなさが逆にロック的だったけれども、踊りのキレとかが足りなかったせいか途中で食傷気味にもなってしまった。

あと性質的には奇跡の海やダンサーインザダークみたいなラース・フォン・トリアーの過去作と近いようにも思えたが、それにしては激しさが少なめで晩年のサタジット・レイ並みに大人しい作りになっていたのも、この作品に物足りなさを覚えた一因かもしれない。

そんなこんなで、ジャンヌダルクになる前の少女の様子をミュージカル調に描くってアプローチは悪くなかったものの、表現に大胆さが不足していて個人的にかなり勿体無いことになっていたように思えた作品だった。