ルサチマ

ジャネットのルサチマのレビュー・感想・評価

ジャネット(2017年製作の映画)
3.6
ジャンヌダルクと修道女がヘヴィメタに合わせながらヘッドバンキングするミュージカル映画。

ジャンヌダルクの周辺にいる人物たちはかなり削ぎ落とされ(ラストシーンで旅立つことを告げるジャンヌのセリフのやり取りさえカメラは映さない)、代わりにヘヴィメタが流れてジャンヌが歌う激しく神聖な空間を動物たちだけは日常も神聖な空間も往き来して、冷静な視線を送り続けることができる。
セリフなんか無かろうと、この冷めた動物たちの視線はジャンヌが自我を確立し、飛立つことのできる(誰も干渉できない)絶対的なヒロインであることを示す。

既に過ぎ去った歴史を再現なんてできないわけで、しかしヘヴィメタというかつては存在しない現代性の明らかな嘘を取り入れることで我々に神聖なフィクションの存在を許容させるのか。
ルサチマ

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