ブラックユーモアホフマン

彼らは生きていた/ゼイ・シャル・ノット・グロウ・オールドのブラックユーモアホフマンのレビュー・感想・評価

3.5
意味のある戦争なんてある訳ない。
実際に戦わされている人たちがこんな状況なんだから。こんなことに意味なんてあってたまるか。

同じ地獄を体験した者同士にしか分からない感覚というものがある。本作はその現実をできるだけ再現し観客に擬似体験させようと試みている。

今こんな情勢だから、より切実に受け取ることはできた。
が、映画としてはそこまで感心せず。映画館で観てればちょっと感じ方も違ったかもしれないけど、そもそも白黒サイレントの映像に色と音を付けるって発想自体にノレない。むしろ情報量を減らしてしまっているような気がするというか。色も音も無い方がこちらが受け取れる情報量が多い気がする。

技術的にも限界なのか、色の付いた映像も動き方が不自然だったし。唯一、色を付けた意味があると思ったのは、血の赤色と死体の土のような肌の色。これだけは白黒で見るより生々しくて効果的だろうと思った。

映画の作り方自体は『リュミエール!』に似てる。

【一番好きなシーン】
イギリス兵と捕虜になったドイツ兵が楽しそうに話しているところ。最初からずっとこうであれよ。