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彼らは生きていた/ゼイ・シャル・ノット・グロウ・オールドのnozomiのレビュー・感想・評価

4.2
事実は小説より奇なりってこういうことか。10代の若者が年齢詐称して兵士になり、「死を前にしても振り返るほどの人生はなかった。ただ「生きて帰れるか」だけを考えていた。」と振り返る。
前線は、相当過酷だったんだろうと思っていたが、「砲撃が激しくない時は友人と来たキャンプみたいだった」という発言は印象的だった。実際の映像もどこか青春のようでキラキラしてるいるとさえ思った。また、「1917」や「西部戦線異状なし」で兵士が喫煙する姿はよく観たが、煙草は支給品の一つだったことを知り納得した。
元英国兵士から語られる、「ドイツ人の捕虜は友好的で、中でもバイエルン人は特に友好的だった。」という話は、戦争の激化に伴い敵への同情心が芽生えた発言だと感じた。彼らは、国の駒として命令で闘っているだけで軍服を脱げば、普通の会社員だったり誰かの父親だったりするのだと再認識した。
前線に立つ者、誰もが勝敗に興味がなく、帰郷してからも一般市民の戦争の無関心さ、残虐化した戦争兵器の無知さを目の当たりした静かな怒りのラストが凄かった。反戦映画として素晴らしい。
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