泳ぐマシュマロ

彼らは生きていた/ゼイ・シャル・ノット・グロウ・オールドの泳ぐマシュマロのレビュー・感想・評価

3.8
イスラエル、テルアビブで開催されていた国際ドキュメンタリーフェスティバル(Docaviv)で鑑賞@Tel Aviv Cinematheque
大人44shekels=1200円
テルアビブの物価は驚くほど高いが、その割には映画は日本の一般料金より安くてほのかに嬉しい。

22時開始のレイトショーなのに、会場は満員。最後の一席に滑り込み、最前列で鑑賞。(首が痛くなった・・)

第一次大戦時の英軍の記録映像。
元兵士たちのインタビュー音声とともに。
映像が現代技術で鮮やかに修正されるだけで、こんなにリアルで鮮明で、本で読む「歴史」じゃなくて「彼らの人生」になるんだな。それだけで心がそわそわっとしてキューっとなる。この世に映画があってよかった。映画館で見られて良かった。

当時撮影機材が珍しいからか、汚れた兵士がジロジロとカメラを眺め、はにかんだり笑ったりおどけたりする。そしてその兵士たちが、銃剣を持って飛び出していって、次の瞬間死体になっている戦争の現実。

この映画では、兵士の名前や役職、日付や場所などは特定されず、主人公的立ち位置を演じる人もいない。それよりも、皆匿名で平等な、戦争という歴史の中の1アクターとしてスナップショット的に切り取られている。
ピーター・ジャクソン監督のインタビューによると、そうすることによって、「Human Experience」として描きたかったらしい。

監督の意図はわかるが、これに関しては、私は少し眠くなってしまった。話の流れや、ある程度人物の情報がある方が、私はドキュメンタリーとして入り込めるなぁと思う。

いずれにせよ、見てよかった。