とてつもない作品でした。
初見はとにかく想像していたドキュメンタリーからかけ離れ、ほぼ静止画とナレーションでの構成にただ困惑。マイケル・ムーアの大傑作『ボウリング・フォー・コロンバイン』、キアヌがインタビュアーとして(映像の)転換期に密着していくこれも傑作『サイド・バイ・サイド フィルムからデジタルシネマへ』……以上のようなドキュメンタリーが自分にとってもフォーマットで、ハズレを引いたと確信したし、眠気も5回はやってきました。
が、ラストで根底から、ひっくり返ってしまいました。
確かにこれは既存のドキュメンタリー映画とは違います。これはいわば完全に新しいドキュメンタリー。
最大のポイントは、“観客でいられない”です。
端的に説明すると、これは観客を“聞き手”にさせる、いわばトークセッション映画。元兵士の証言・発言、デジタル修復された映像、最新カラーリングによって新生された当時の写真……これらがボクら観客を、観客にさせてくれない……第一次大戦への欠片へ誘うツールなんです。ラストが終わって振り返ったら、これまでの証言すべてが異様な空気を孕んで迫る。あの話を聞かなかったことに激しく震えます。知らない間にボクは話に、戦争から逸らしてた?勿論単に合わなかった、相性もあるでしょうが、もう一度改めて、映画を観たいと思いました。こんな感情、これまで観てきた名作映画(主に『地獄の黙示録』『2001年宇宙の旅』など)以来です……。
戸惑うほど新しい、観たこと無かった戦争映画。ドキュメンタリーの概念さえ壊す注目作ですよ。
最後に謝辞。
本作を、そして以前『不屈の男 アンブロークン』をここ日本で封切ったシアター・イメージ・フォーラムさん、本当に感謝です。『アンブロークン』、そして本作……どれもただただ素晴らしい、貴重な映画体験でした。これからも素晴らしい映画をどんどん送ってください。観たい映画が公開されたら、飛んでいきます!宜しくです!