ヴぇる

ホテル・ムンバイのヴぇるのレビュー・感想・評価

ホテル・ムンバイ(2018年製作の映画)
4.2
テロ組織を扱った映画としては大傑作であり、まとめ方、緊迫感に関してはトップレベルの中の一つだろう。

導入部の時点でこの作品にのめり込んで行った。ゆったり進むシーンと緊張感が交錯していき、全てを飲み込んで物語は加速しく。カメラワークも余計なブレは使わず淡々と起きている状況を映し出していったのでストレスは全く無かった。

それどころか、射殺のシーンは今作品に何度も出てくるが、余計な焦らしや手心等映画的表現はほぼなく、ただただ殺されていく。映画的表現を無視していく今作の殺戮シーンはテロの残酷さ非情さを我々にまざまざと見せつけることに成功している。

加えて驚いたのが群像劇と化した今作の不思議なところはキャスティングのお陰なのか役者の演技のせいなのか終ぞ分からなかったが、全員分の設定が頭に残りどの役者のストーリーになっても飽きる事などはなく、全てに感情移入出来るところだ。脚本が素晴らしいのだろう。

ただ、1点苦言を呈するのであれば、実際の同時多発テロとの差異は仕方ないにしても明らかに無理があったり少しおかしい場面も無いわけではない。つまりは脚色が過ぎるという欠点もある。まぁ120分に収めるのであれば仕方ないというフォローも出来るが視聴後に史実を確認すると若干冷める部分もあった。

総評としては、評価は非常に高くテロ問題を扱った映画としては最高点に近いスコアが付いた。
実際ここまでの緊迫感を持って見れた映画は『アルゴ』以来のような気がする。素晴らしい映画だ。
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