Iri17

ばるぼらのIri17のレビュー・感想・評価

ばるぼら(2019年製作の映画)
4.3
『ばるぼら』は手塚治虫作品の中でも、難解かつダークな雰囲気の強い作品で、エロティシズムとシャーマニズム、デカダンスが入り組んだ怪作。

数ある手塚作品の中でもこれを映画化しようとはかなり意欲的だと感じた。

映画化の難しい作品だとは思っていたが、僕はこの映画は成功だと考える。

理由は3つ。
撮影監督クリストファー・ドイルの技術
音楽の妙
稲垣吾郎と二階堂ふみの演技

光と影の使い方が美しく、この作品の奇怪で不可思議な世界観の構築に成功している。それはひとえにクリストファー・ドイルの撮影技術のおかげだろう。

ジャズミュージシャン橋本一子の作り出す音楽も同じく世界観の構築に寄与している。

そして心に闇と抑えられない欲望を持つ作家の役を稲垣吾郎が説得力のある演技で演じ、二階堂ふみの体当たりな演技がファム・ファタールとしての謎の女ばるぼらの存在感を生み出した。

どれか一つが欠けていれば一気に崩壊していただろうという映画だったが、大満足でした。
Iri17

Iri17