コウキ

ファイブ・フィート・アパートのコウキのレビュー・感想・評価

4.5
愛する人に触れられない歯痒さ。

17歳のステラは嚢胞性線維症という難病を患っており、病院で治療の日々を過ごしてきた。そんな彼女の病院に同じ病を抱えるウィルが現れる。徐々に惹かれ合う両者だが、発症の危険を避けるため同じ病を持つ者同士は触れ合うことができない現実に苦悩する。

まずこうした病が現実に存在することを知らなかった。コロナ禍を経験しているから、接触できない歯痒さはある程度体験している。そんな私たちの経験が風邪のように感じてしまう。それだけ、愛する人に全く触れ合えない苦しさは想像を絶する。

ステラとポーの関係性が印象的で、例え身体が触れ合えなくても、常に心で触れ合っているのが伝わった。

当たり前に思える友人や恋人と過ごす時間。その時間にどれだけ触れ合い、愛を表現できているだろうか。言葉の力は計り知れないけれど、言葉では伝えきれないこともある。しっかりと愛を表現しよう。人生は限られていていつ終わりが訪れてもおかしくない。当たり前の日々を噛み締めて生きようと思える作品。

ステラのラストメッセージは心に留めておきたい。
「もし愛する友人、家族、恋人がいるのなら、抱きしめてほしい。触れてほしい。人生は長くない。それは本当に大切なことだから。」
コウキ

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