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オオカミの家のいのネタバレレビュー・内容・結末

オオカミの家(2018年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます



あえてストップモーションを用いることで、本来ストップモーションが体現すべき「滑らかに連続する時間・空間」の破壊を際立たせている。
平面ー立体、遠近の区別がない。物が動くこと、移ろうことを、連続する時間・空間としてではなく、「生まれ続ける」という事象で捉える。生まれ続けることには膨大なエネルギーが伴うので、観ていて息苦しさを感じる一方で、瞬間瞬間に宿るグルーヴは不思議と癖になる。

マリアは生まれついてから集落のルールや親の支配・干渉を受けてきた存在だったが、オオカミの家に逃れることで、そうした干渉からの脱却に成功した(ようにみえる)。

マリアはオオカミの家に棲みついていた2匹の豚に魂を吹き込み、それぞれに「ペトロ」と「アナ」という人格を与える。マリアは社会の庇護/支配を受ける側から、他者へ愛情を与え育む側にまわることで、弱い立場に置かれてきた歴史を浄化しようと試みる(そのクライマックスが、3人で手をとり歌う場面)。

しかしマリアが2人にしたことは結局、支配・干渉の再生産に他ならなかった。返り討ちに遭う形で2人から捕食されそうになる。

マリアが救われたのは、自ら庇護する側にまわることで、自分の中に潜む「オオカミ」(獣性であり支配の象徴)を自覚することができたから。
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