まゆな

オオカミの家のまゆなのレビュー・感想・評価

オオカミの家(2018年製作の映画)
3.5
わたしは徹底的にネタバレ踏みたくないタイプなのでこちらも予備知識ゼロで観たわけですが……これに関しては正直ある程度予習が必要だったなって後悔している。

公式サイトのイントロダクションでも触れられてるけど、『オオカミの家』は1961年にナチスの残党がチリに設立した拷問施設かつカルト教団「コロニア・ディグニダ」がモチーフになってます。リーダーが子どもたちにむけて映画を作るとしたら……という設定でつくられた映画と聞けば話もスッと入ってくるはず。

そんなわけで私はストーリーに関しては初見ポカーンでして、技術面に注目せざるをえなかった(笑)。ただ実写映像と立体アニメと壁画アニメのミックス、しかもワンシーンワンカット!っていういままで経験したことのない映像体験。絵を描いたり造形やったりしたことある人なら特に、その創作意欲と執念に圧倒されるはず。上映時間74分ということで観る前は短いかな~と思ったけど、実際観てみたらこの手間を想像して充分すぎるほどお腹いっぱいになりました。

この映画自体は、チリやドイツなどの美術館やギャラリーで展示しながら制作したそう。確かに人の目がないと、こんな手間のかかる作業は続けられないかも……。パンフでは監督が「もし誰も映画を観てくれなくても、この3年間(※)が無駄になることはない」って語ってたのは印象的だった。

※制作期間は企画含めて5年間とあったけど、この発言での3年というのはおそらくギャラリーでの制作期間のことを指しているんだと思う

音にもこだわってて、9割はサウンド担当のクラウディオさんの自宅で録られた生の音を使ってるそう。気味の悪い映像なのに音はどこか心地いいなあと感じたのはこういうところから来てたのかもしれない。鳥の歩行音は特に気持ちよかった。
まゆな

まゆな