戎

オオカミの家の戎のレビュー・感想・評価

オオカミの家(2018年製作の映画)
4.8
良すぎー
これも設定つき映画で、コロニー布教映画の体でコロニー批判をしている。
予告から何かおぞましいものを想像していたが、怖さよりストップモーションの作り方の面白さが勝った。まるで部屋にプロジェクターで投影でもしているかのように、壁や立体物を塗り潰しながらヌルヌルというよりズルズル動く。一コマずつ塗り潰しては描き、塗り潰しては描くを繰り返すので、壁にはその描画の足跡が残されていく。また、人物が素体からテープで形作られ色を塗られ人の形になるまでを写しながら話が進む。その人物が少し角度を変え動くたびに、テープが貼り替えられまた絵の具が塗られていく。おかげで一般的なストップモーションではありえないほどの情報量となり、それが余計に時間の経過や蓄積というものを直感に訴えかけてくる。ほかのアニメーション作品では感じたことのないような脳が処理落ちする感覚に陥る。見落とさないようにずっと目をかっ開いていた。ミッドナイトゴスペルのように、映像に集中するとストーリーについていけず、ストーリーを拾おうとすると映像を見落としてしまう。ミッドナイトゴスペルや同監督のアドベンチャータイムでは、絵コンテを切るのではなく描きたいシーン(ストーリーボード)をつなげていくという特殊な手法が取られているが、もしかするとこの映画も描きたい絵・作りたいビジュアルがあり、それをつなげる方法で作られたのかもしれない。

子ブタから人間に、そして金髪碧眼に"してあげた"女の子と男の子から最後は反逆され、自分だけ助かるという御伽噺のようでもある謎めいたストーリーだったが、元ネタとなったコロニーについて調べれば理解できるのだろうか?

また効果音がとても心地よかった。ポコポコ、サクサク、パリパリ、というような何で出しているのかもわからないがASMRのような音が多くて画面との対比が面白い。

パンフレットを買ったので後から読む。
情報量についていけなかったのでもう一回見たい
戎