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オオカミの家のkazukiseraのレビュー・感想・評価

オオカミの家(2018年製作の映画)
3.9
チリのアーティスト
クリストバル・レオンとホアキン・コシーニャの二人組による初の長編映画

ストップモーションアニメーション(静止している物体を一コマずつ少しずつ動かし撮影し、あたかもそれ自身が連続して動いているかのように見せる映画の撮影技術)である。

独特の気味の悪さは、ヤン・シュヴァンクマイエルの様でもあるが、少なからず私は今まで見たことのあるものではない。もうそうゆう次元ではない。

画面全体が動き、絵と造形物を組み合わせて、少しずつ少しずつ描き直したり、造り直したり、もう素人目で見ても地獄的な作業な事はわかる。それをワンカットに繋げていて、とにかくこんなものを見たのは初めてである。そしてとんでもなく好みでもある。

物語としては、ダークファンタジーなのだが
チリのこの時代背景、独裁者ピノチェトがクーデターで軍事独裁政権についた1973年あたりの歴史

そして
「コロニア・ディグニダ」
元ナチス党員で、アドルフ・ヒトラーを崇拝し、子どもに対する性的虐待でドイツを追われたキリスト教バプテスト派の指導者、パウル・シェーファーらが設立。1960年代初頭の入植当初から40年以上、ドイツ人のシェーファーの指導の下、拷問や性的虐待、殺害をもって運営を続けたカルトコミューン。

この二つが頭に入っていればより背筋が凍るかもしれない。前知識無しで見ても十分楽しめるが、それなりの作品なのでそれなりに胃はからっぽにして見たほうがいい。

二匹の豚、逃亡する少女、オオカミ、コロニーなどが一体なんのメタファー(隠喩)なのかなんとなくわかりながら見た方がおもしろいとは思う。

いやぁ、凄い。まいりました。

そういえば、エマワトソン主演の"コロニア"がディグニダのお話だったなぁ。見たのは2018年だけどまったく内容覚えてない。