あかの

影裏のあかののレビュー・感想・評価

影裏(2020年製作の映画)
3.6
大友啓史は、るろうに剣心シリーズ等のイメージが強かったこともあり、こんな作品を撮ることもできたのかとまずは驚いた。
予告編からミステリ的要素を期待をすると肩透かしを食らうかもしれないが、これはあくまでも純文学作品の映像化だ。
岩手出身の身としては、懐かしい岩手の風土の中で紡がれる男2人の関係性に、心が震えた。
人には皆大なり小なり影とも呼ぶことのできる裏の顔があるものだが、ある日忽然とその人が消えてしまったとしたら、誰しもがその影に囚われ追ってしまうものなのかもしれない。
きっと今野は一生日浅の影を振り払うことはできないのだろう。例え表しか見ていなかったのだとしても。表しか知らなかったからこそ。ああ、何て切ない。
綾野剛演ずる今野は、冴えない中に、可愛らしさがあり、どこか妖しさや艶かしさもあった。加えて、前半、執拗に下着1枚の下半身があらゆる角度からアップで映されるので、綾野剛ファンであれば、必見だ。
また、中村倫也の美しく嫋やかな女装姿も、必見だろう。
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