小さな池 1950年・ノグンリ虐殺事件のKajiのネタバレレビュー・内容・結末

山間、深く鮮やかな緑に囲まれる山村、走り回る子が誰の子供かみんな知っていて、自分の親が誰の親戚かみんな知っているような住民が突如、「ここは戦場になるので避難しろ」と告げられる。

老いた親を背負い、家財を背負い、赤ちゃんを抱いて徒歩で避難していたところ道路規制している米軍に追い立てられ線路に出ると、、

突如、彼らに向けて銃弾が降ってくる。


朝鮮戦争中の敗残米軍による民間人虐殺事件「ノグンリ虐殺事件」を描いた今作、平和でのどかな山村からの避難民に、唐突で抗えない中で起こる戦時暴力を克明に切り取った一作。
打ちひしがれる。

米軍の中でも前線から「彼らは一般市民だ」と連絡を入れる会話もありますが、無慈悲な命令がおり、抗命は軍規違反なのか前線兵は抗えず。。

永く認められなかったこの事件が、90年代に明るみになり、この映画が制作された背景からも、混乱と代理闘争の酷さがうかがえて言葉になりません。


今や名優となり、大作話題作に盛んに出ているベテラン、中堅俳優たちが村民を演じています。ノーギャラ出演だったそうです。群像シーンの見事さに力を感じました。

歴史的に隠蔽されていた事件を後からでも映画にしていこうと奮起する映画人たちの聡さと、どの映画に出演するかをアクティビズムに転換できる俳優の社会感覚の鋭さには拍手です。