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小さな池 1950年・ノグンリ虐殺事件のIPPOのレビュー・感想・評価

3.3
ノグンリ虐殺事件とは、1950年夏、朝鮮戦争勃発から程なくして起きた米軍による韓国の民間人大量虐殺。
米軍は約50年事件を隠し、遺族などによる叫びも韓国国内ではあまり取り上げられなかったという。
00年代、アメリカで事件が公になったことを機に韓国国内でようやく関心が高まったそう。

50年以上もの間、公にならなかった痛ましい事件。この作品は、事件の凄惨さを世に伝えるため、ノーギャラで出演した142人の俳優と229人のスタッフにより製作されたもの。
事件に関しては、政治や思想、朝鮮半島の歴史に触れるのでここで評価するのは避け、単にこの作品が映画としてどうだったかをまとめると…


敢えてドラマチックな展開を用意せず、主役も設定せずに、この事件が起きたということを淡々と伝えている。
演技然とした表現ではなく、小さな村で生きる一般人たちがたまたま遭遇した出来事という見せ方に一貫しており、ある種ドキュメンタリー風でもある。

この事件のことをどうか知ってください、という作り手の深い熱意のようなものが芯にあるのかもしれないし、85分という短めな尺なので無駄が無く見やすい。
ただ、娯楽作品としての評価は低めになるし、むしろ評価し難い。

娯楽という視点ではなく、韓国の歴史の学びや、例えば大学の朝鮮半島関連の授業なんかで見るような類の作品という印象です。
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