ワンコ

クローブヒッチ・キラーのワンコのレビュー・感想・評価

クローブヒッチ・キラー(2018年製作の映画)
3.9
【ヒントを読み解く/伝統的なアメリカの白人社会】

サスペンス・スリラー作品という位置付けだが、サスペンス感もスリラー感も抑え気味で、実は、そこが重要な点ではないのだと気付かされる。

これは、アメリカの田舎の白人カトリック信者が大半を占める伝統的なコミュニティの話しだ。

作品に有色人種は出てこない。

伝統的なカトリック信仰が優位で、意にそぐわないものは異端扱い。

ボーイ・スカウトをコアにした男性が集うことの多い男性中心コミュニティ。

家庭は典型的な父権主義。

そして、仲間内の恥は隠ぺいするが、これは臭いものにはフタをするというのとは異なり、当事者はずっと社会の重要な一員であり続けるのだ。

多くの種類があるロープの結び方は、コミュニティを縛りつける掟のメタファでもある。

明らかになる性癖・幼児性。

暴かれる真実。
対象が、ある一定以上の年齢の女性とだったり、太った独身女性であることも、この歪んだ男尊女卑の社会を表しているのだろう。

しかし、真実は、また隠され、表沙汰になることはない。

こうして、アメリカの田舎の伝統的白人コミュニティはやってきたのだ。
そして、これからも変わることはない。

過剰なサスペンス感だったり、スリラー感は極力排除され、こうしたことを考える作品なのだと思う。
ワンコ

ワンコ