おヴパちヴい

クローブヒッチ・キラーのおヴパちヴいのネタバレレビュー・内容・結末

クローブヒッチ・キラー(2018年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

主人公に感情移入すると複雑な気分にさせられる

なんとも微妙な終わり方だとおもったけど、なんとも後を引く余韻の残る映画だった、見終わった後、考えれば考えるほど、いろいろなものが見えてくる気がする

犯人探しというのが大まかなストーリだけど、犯行の動機とか真相は明らかにされていない(たぶん変態趣味の延長で大した動機は無いと思う)

最終的には、主人公である息子から父親への信頼と不信感、愛情と嫌悪感、そこいら辺が話の焦点となっていたと思う

映画を振り返って考えると、

・まず、母親はどこまで知ってたのか? 父親の変態趣味ぐらいは知っていたのかもしれない、犯行まで知っていたかどうか、最後息子に寄りかかって泣くところが悲しい

・父親と2人きりのキャンプのシーンで、父親は「実は伯父が真犯人だ」と語った、最初、頼りない主人公はそれを信じてしまっている、と思って見ていたが、本当は信じていなかったのかもしれない、それでも父親を見捨てることが出来ず、信じることにしたのかもしれない、後から考えるとそんな気がする

・主人公がベッドで考えてるシーン、証拠品を燃やすシーン、事件を追う少女カッシに対して事件の話や父親の話を避けるシーンも、親子関係を壊したくない葛藤を示唆していたのかも

・「カチッ」(空撃ち)、これはびっくりした、まさか息子を撃つとは思わなかった、それを読んでた息子は偉い、その後カッシの通報阻止、ここでも父親を見捨てることが出来ない息子

・ラスト、父親がまだ生きてたということ、その描写は無いが、息子は実弾を込めて父親を撃ったということ、父親の尊厳を守る為に撃ったんだと思うと複雑な気分にさせられる

演技に関して、

途中までは、父親以外はあまり良いとは思えなかったが、ラストの演説のシーンで主人公の存在感が浮き出ていた感じがする、父親が立派だったという意味では明るく、父親がド変態だったという意味では暗く、父親への複雑な想いが表情によく出ている

もういちど演説のシーンを見直した時、息子のひとつひとつの言葉と、良い人オーラ100%の父親の遺影を見てると、息子にとってはこういう父親だった、というのがいい感じに思えて、なんだか喉の奥がグーっとなって泣かされてしまった、あと最後に「愛している」で締めるのもめっちゃ良かったんだなと思った

とりあえずもっかい最初から見たいとおもう
意外な掘り出し物って感じで、個人的には心に残る映画でした
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