これ、すごい映画なんじゃないだろうか。
人種間の見えない壁。これもガラスの天井だよね。
乗り越えるものでも破壊するものでもなく、ただそのなかに生まれ、そこに生きているひとがいる。
もちろんとある事件はきっかけとはなるんだけれど、そういう壁とともに在る生活や友情と、そこから炙り出されるそれぞれの苦しさ、そしてそれらが続いていくさまをこんなふうに日常のなかで表現した映画を、私はこれまで知らなかったように思う。
私はこの映画を観ながら無意識に、黒人と白人の物語にありがちな善と悪のステレオタイプを求めてしまっていた。そんな私の感情もある意味ブラインドスポッティングで、しかもひどく傲慢なものなのだと気付き、愕然とした。
ラップじゃないとおれたちの言うことなんか聞いてくれない、という台詞が痛烈だった。