千年女優

ブラインドスポッティングの千年女優のレビュー・感想・評価

ブラインドスポッティング(2018年製作の映画)
4.0
全米屈指の犯罪都市で、かつては白人警官による黒人男性射殺事件で非難の集まったオークランド。互いに貧困層の出身で、保護観察処分解除まで残り三日となった黒人男性コリンとその幼馴染で黒人女性を妻に持つ荒くれ者の白人男性マイルズ。彼らの人種を越えた友情とそれでも生まれるブラインドスポッティングを描いたドラマ映画です。

都市中心部のハーレム化と富裕層の郊外移住であからさまな分断のあった時代を経て人口回帰「ジェントリフィケーション」の進む現代。一見すると調和の兆しが見られるとはいえいまだ残る複雑な感情をカルロス・ロペス・エストラーダ監督が描いた作品で、難しいテーマを扱いながらもラップを巧みに使って演出することで彩りを加えます。

有名なだまし絵である「ルビンの壺」と、侮蔑用語でありながら黒人間では親しみを込めて用いられる「nigger」という用語を重ねることで表現する二人の僅かでも決定的な差は、表面的には差別意識はないとする人の心にも潜むものでハッとします。しかしそこに留まらずに進展の予感を漂わせることで希望を見せる、機知に富んだ一作です。
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