ベンジャミンサムナー

ジョジョ・ラビットのベンジャミンサムナーのレビュー・感想・評価

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)
4.0
「総統はタマが1つしかないという噂はデマだ。4つある」

戦時中のナチスドイツをユーモラスに描き(それでもハッとさせられる部分はあるが)、主人公の生活圏に戦争がどんどん侵食してくるところは『この世界の片隅に』を連想した。
もしくはナチス視点の『ライフイズビューティフル』?

本作の魅力はなんといっても純粋無垢なジョジョ君の可愛さ。
エルサに恋人のふりをして手紙を書いて泣かせてしまった罪悪感ですぐ訂正の手紙を書いたり、「恋をすると心臓を蝶が飛び回ってるような心持ちに」と母から聞いた直後にジョジョの体に蝶の映像をインサートする演出もキュート。
もちろんヨーキー君も。
気っ風のいいスカヨハ演じるお母さんも彼女の役柄として新鮮で魅力的。

右も左も分からない子供は、大人の示す正しさに従うしかない。
そして色んなことを経験し、自分の正しさを見つけて自立する。
ユーモラスでありながらも真摯に戦争の愚かさを突いた普遍的な少年の成長物語。