ジョジョ・ラビットのFullのネタバレレビュー・内容・結末

人々はみんなそれぞれ愛おしく、目の前の相手を愛すことができるのに何故戦争をするんだろうか…

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戦争の愚かしさをコメディに落とし込んで気軽に観れるようになっているにもかかわらず、戦争というものを深く考え直す機会を与えてくれる素晴らしい映画だった。

ジョジョもヨーキーもキャプテン・Kも…キャラクターたちにはみんな愛すべきところがある。でもナチスに所属する彼らはユダヤ人は極悪人と信じ(時には信じようとし)、嬉々として戦争に参加しようとする。
ジョジョのように教育(洗脳)で純粋にユダヤ人＝悪、殺すべき相手と信じている者もいれば、反ナチスが許されない状況においてそう振る舞うしかない大人もいるだろう。
根本の悪はナチス政権ではあるが、その下で戦争に加担する人々のことを考えると、なにが悪なのか分からなくなってしまう。

それぞれのキャラクターが生き生きと愛おしい中で、スカーレット・ヨハンソン演じる母親が特に素晴らしかった。
彼女は反ナチスの立場にありながら、ナチスに心酔し戦争に加担しようとする息子に対して「戦争はいけない！」と抑圧するのでなく、戦争とはどういうことかを自ら考えさせようとする。
彼女のチャーミングさも含め親としても、そして一個人としてとても好きなキャラクターだった。

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またヒトラーの描き方も印象的だった。ジョジョの心の中にいるヒトラーとして登場する彼は、最初の方ではとてもユーモアに溢れた人格者として描かれる。(彼をコミカルに描き笑いを取ることは暴力に対する究極の対抗だという感想を拝見し、とても納得した)
しかしジョジョがナチスに不信感を抱き始めると彼の心の中のヒトラーはどんどん威圧的で抑圧的で横暴になっていく。
これによってジョジョの心情の変化と葛藤がより分かりやすく理解でき、とても面白い演出だと思った。

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そしてなによりラストのシーンがとても良く印象的で、「ダンスは自由な人がするの」という母親の言葉を思い出し、愛おしい気持ちになった。

戦争の愚かさや残酷さを目の当たりにしたジョジョはこれからどう育っていくのだろうか。