B級怪獣エイガ

ジョジョ・ラビットのB級怪獣エイガのネタバレレビュー・内容・結末

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

新年1本目からとんでもない5が出てしまって困惑中。
これまで俺にマジで涙を流させた映画はエンドゲーム/インフィニティウォー/スパイダーバースと、俺の大好きなスパイダーマンというキャラが絡んだこの3作だけだった。「次に大粒の涙をボロボロ流すのは実写スパイダーバースが実現したらかな〜」となんとなく思っていたがまさかこんな所で現れるとは…それにスパイダーマン意外でボロボロ涙流せたんだ俺…困惑ものである。

そもそも、僕は戦争ジャンルの映画はあまり好んでみている方ではなくむしろ避けている。理由は、単純に見ててしんどいし胸糞悪くなること必須だからだ。しかし、 今作に関しては最初のトレイラーを見た時から見ようと決めさせるルックの魅力があった。雰囲気はサラッとしていて明るく、監督ヒトラーや子役の無邪気さからシンプルに1映画としての魅力が溢れていた。そして案の定、本編はThe深刻なものではなくすこし緩い見やすいもので、色味やファッションが超可愛くて映像作品としての魅力が抜群だった。

ただこの緩さや見易いルック、優しさがこの映画の戦争を何より怖いものにしていたのが凄かった。今まで何本か戦争映画や戦争描写がある映画を見てきたが今作の戦争描写が最も怖かったくらいだ。今作は人間の醜さ恐ろしさを描くことで戦争の怖さを描くのではなく、人間の優しさ明るさ無邪気さ、愛を描くことで対照的に戦争の怖さを描いていたのだ。

緩く可愛い映像が続き、映画に気持ちよく没頭している所にポンと突然提示される直視するには苦しすぎる画。決して血みどろでもグロテスクでもない、なんなら血はほとんど一滴も見られないほどの画にドシンと心臓を揺さぶられる。

もう最初の子供達が無邪気に訓練してるところからちょっと『ああやばいかも…』となっていたが、一番最初に心臓がバクんと唸りを上げたのがあの母親の靴のシーン。それまで『変わった面白い撮り方をするな~。』とのほほん気分で映像にうっとりしていたが、これがこのシーンのこの瞬間のためにあったのかと思い知らされた時、本当に怖くて恐ろしくて悲しくて。と同時に演出のうまさに感動するという感情を滅茶苦茶にされるとてつもなく脳裏にこびりついて離れない忘れがたいシーンで、既にここで100点は出ていた。
ちなみに母親の描写に関して一緒に見た友達の感想で『あー!なるほど!』と思わされたのが、「母親の登場シーンでイマジナリーフレンドととも思えるような描き方をしてるシーンがチラホラあって母親もイマジナリーなのかな?と一瞬思った。」というもの。俺は全くそんな風に見てなかったが確かに、今思い返せばそうとも思えなくもない描かれ方をしてるシーンがチラホラ思い出せる。これは多分、意図的に母親がイマジナリーヒトラーと対になるように描かれていて、ジョジョの2つの人格を表しているのかと思う。しかし、映画を見て分かるとおり彼女は決してイマジナリーなどではなく本物の母親であるからこそ、彼女がああなった時にジョジョは進むのだ。

とまあ、母親周りのシーンは言うまでもなく素晴らしいもので(スカーレット・ヨハンソンマジすげえっす1ミリもブラックウィドウよぎらかったっす)100点ものだがこの映画はまだ止まらない。このワイの強靭な涙腺を完全に破壊したシーンがこの後設置されていた。
それが、





【ヨーキーが】

【銃を持たされて】

【戦場に】

【突っ込んで行ってしまう】

シーンだ。



俺はヨーキーなら行かないと思っていた。それまで『ユダヤ人のガールフレンド?いいじゃん。』と純粋な気持ちのままいてくれてるヨーキーなら、ジョジョと一緒にラビット✌️となり、戦場から逃げてくれる。そう思っていた。
でも違ったんだ。純粋な故に多分、『戦争ごっこ』として突っ込んで行ってしまったんだ。銃を受け取り『昇格だ』と言われたヨーキーはきっと嬉しかったんだろう、戦争ごっこのヨーキーは嬉しかったんだろう。戦場に突っ込んで行ってしまった。目の前で同じ子供が手榴弾を括り付けられ走っていくのを見てもヨーキーは戦争ごっこを続けてしまった。


『ああ、行っちゃうんだヨーキー。』

ここで無性に悲しくなって、ヨーキーに行って欲しくなさ過ぎて、泣いた。大粒の涙ボロボロ流して泣いた。声上げて泣きそうになるくらい泣いた。ヨーキーやジョジョ、サムロックウェル演じる大尉、エルサなど、この映画の大好きなキャラクターを失いたくなさ過ぎて怖すぎて泣いた。
でそのままサムロックウェル大尉のあのシーンに突入して涙が加速。マジで声を上げそうになる。
そして流れるようにラストシーンに突入。ビートルズのドイツ版I Want To Hold Your Handから始まった神映画がデヴィッド・ボウイのHeldenとかいう神曲で踊りながらエンド。エンドゲームの美しすぎるあのダンスに引けを取らない美しすぎるダンスシーンで幕引き。号泣。

こんなに良い映画、滅多にない。

鑑賞後サントラ即購入。さらに5000円もする日本語吹き替え字幕ともに未収録のワイティティ監督の『Hunt for the wilderpeople』海外盤を購入。即鑑賞。家では毎日サントラ流し余韻に浸る日々。

2020年、マジでトンデモナイ1発目を決めてしまった。落ち着けまだ2020は始まったばかりだ。しかし、これは当分てか一生ジョジョラビットを抱き締めて生きて生きそうです。