ぶんぶん

新聞記者のぶんぶんのレビュー・感想・評価

新聞記者(2019年製作の映画)
3.5
新聞社へ届けられる《特区に新設される医療系大学》に関する怪情報。情報を追う新聞記者と、潰しにかかる内閣情報調査室との攻防。そしてその間に立ち「国家」と「家族」、「正義」と「保身」の間で揺れる官僚たち。

それぞれの立場、それぞれの選択に『私たちはこのままでいいのか?』と問いかける…というのが本作の趣旨でしょう。

が、残念なのはこの中に直近の選挙に参加する大多数である【市民】が共感できるようなキャラクターが見当たらないこと。

たとえば、松坂桃李の妻である本田翼あたりが「日本死ね!!!」とまでは言い出さなくとも、何かこう彼らをもっと揺さぶるような地を這う視線がないものかなぁ、と思う。

主演のシム・ウンギョンの演技には言葉のハンデを超えた実存感があり見入ってしまうものだったが、この役をやろうという日本の女優さんは居なかったんだろうか?という素朴な疑問は残る。

制作の過程を知らないので迂闊なことは言えないのだけど、『私たちはこのままでいいいのか?』という問いは制作陣からこの国の芸能界へ叫びのようにも聞こえてきたりして。
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