かに座

新聞記者のかに座のレビュー・感想・評価

新聞記者(2019年製作の映画)
3.5
社会派の映画ではあるが、大きな権力の前でひとりの人間がどう動くことが出来るのかという題材は感情的に描かれていた。

政治的ニュースに対する国民の在り方についてよく考えるが、浅学に少ないソースを入れても月並みのことしか浮かばない。一般人らしく感情に翻弄され、疲れた事にしてニュースそのものを忘れてしまう。
この国の人は感情的にしか動けないのかもしれないと最近思う。その上で直接的に害がない事柄であれば、長い物に巻かれたほうが楽だ。

主役の新聞記者がなぜ外国人でなければならなかったのかと考えていたが、この国の仕組みや国民性を考えると、役柄も役者も日本人ではこの執念も正義感も説得力がなかったのだろうと思う。正しいと信じた事のために行動するのが本当に下手だ。正しいかどうかなんて二の次なのかもしれない。外国人とか異端児とか、そういう外の力を必要としてしまう。

事の真相が明らかになったあたりではその荒唐無稽さに、このくらいのフィクション性を持たせなければいけなかったのか…と「お察し」してしまった。

事態が上向きになり突き抜けていく形を見送るように終わるのが日本映画だと思っていたので、エンディングの入り方には感嘆してしまった。
演技のほどは特筆する事はない。
かに座

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