木野エルゴ

グレイハウンドの木野エルゴのレビュー・感想・評価

グレイハウンド(2020年製作の映画)
1.3
まず、映像表現やサスペンス要素は素晴らしかった。ギリギリのところで戦う人たちのやりとりや、戦時中どのように船を動かしていたかなど見ていて興味が尽きない。あれだけの判断を瞬時にこなさなければならない状況で、常に平静を保つのは並大抵のことじゃない。きっと当時の人間の精神力は現代の人間では遠く及ばない。

しかしながら、やはり戦争というのはどのように美しくストーリーを飾っても絶対に美談にはなり得ないなとも思う。非効率で人も物質も無駄にして、環境破壊も著しい。これほど無駄な行為もない。

辛辣な言い方をするが、なんというか笑ってしまうくらい独善的なアメリカ的ヒロイズムで今更なんでこんな作品を作ったのか疑問すら起こる。特に黒人給仕兵に対するセンチメンタリズムと敵艦隊のわかりやすい悪役的な立ち回り、それから最後の「グレイハウンドありがとう!」っていうオーベーション。戦争から何も学んでこなかったのかなとすら思う。
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