あさ

行き止まりの世界に生まれてのあさのレビュー・感想・評価

3.9
監督が当事者で、スポットライトを浴びるみんなの友人だからこそ。赤裸々に、自然体の彼らを見ることができたと思うととても良いドキュメンタリーだった。思っていたより長く密着していて、一作目にしてこの出来…。努力か、才能か…。

タイトルの通り行き止まりばかり。企業撤退で職に就くのも難しく、人が離れていくまち。登場するスケボーコミュニティの子たちほぼ全員が家庭内暴力や経験したりと、幼少期にいい思い出がない。傷を知る者こそ優しくなっていきそうだけれど、ザックが自分を何とか善人として正当化しようとしたり、どこかで自分がピエロでいることを自覚してるのが苦しかった。「俺ばかり」「彼女は若いから遊びたいんだろうけど、もう遅いんだ」"もう遅い"って言葉とか、いちいち引っかかるよ。全部自分に返ってきてる。この映画を撮っているビンが何より、自分や母が体験してきた家庭内暴力を辛く思っているはずなので、ザックが「ビッチは殴られて当然」のようなことを言った時にとてもショックそうな表情を浮かべていたのもしんどかった。

どうでもいいけどMinding the Gapから私の頭にはロンドンの地下鉄アナウンスが連想され、イギリス制作だと勘違いしててハニャ?ってなってた。完全に『僕が飛び跳ねる理由』と勘違いして再生していた。2020年は本作とMid90sがやってたからスケボー映画のイメージが付いてたなあ。
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