CHEBUNBUN

行き止まりの世界に生まれてのCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

3.5
【サラッとした会話に垣間見る虐待の連鎖】
昨年のアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞にノミネートされ、あのバラク・オバマ前米国大統領も賞賛したドキュメンタリー映画『Minding the Gap』。日本では、ビターズ・エンドが配給権を買ったらしく、今年日本公開が期待される本作ですが、一足早く観ました。これが会話による怖さを演出した作品でありました。

『ダイバージェント』や『ジュピター』等でエンジニアとして働いてきたビン・リュー初監督作はかつてスケートボード仲間として友情を深めた2人の友人と過去の虐待に向き合うドキュメンタリーだ。家庭での貧困や痛みを語ることを知らない少年たちは、スケートボードにのめり込み、街を庭のようにして過ごしていた。彼らがスケートボードで担う傷よりも、会話で匂わせられる痛みの方が如何に痛いものかを映画が物語ります。

友人の一人ザックにカメラが向く。彼は酒に溺れて、急激に息子と妻との関係が悪化している。彼はこう語る。

「俺は暴力をふるってしまうかもしれない。」

彼は虐待を知っているはずだ。暴力を知っているはずなのに、その暴力の歴史を繰り返そうとしているのだ。

もう一人の友人ケイルもどうも様子がおかしい。あの頃の青春は戻ってこないのか。あの頃、虐待に負けず未来を観た輝ける時代は帰ってこないのか?美しい青春のポートレートの端々で見つける綻びの辛辣さが、何故子どもの教育に暴力を用いてはいけないかを説得力持って語られている。観客は、この映画を観て心にジーンと来るだろう。しかしながら、彼らの傷は癒えることはない。この残酷な真実に言葉を失うことでしょう。