SANKOU

天気の子のSANKOUのレビュー・感想・評価

天気の子(2019年製作の映画)
4.6
幻想的な映像にただただ酔いしれた。冒頭の雨模様の街からガラス越しに見える陽菜の顔に魅了され、流れる雲、打ち付ける雨粒、新宿のネオン、そして雲間から射す日の光、そのすべてが美しかった。新海監督の作品にずっとある引かれ合う男女を隔ててしまう溝は今作品にもあり、それが観るものにどうしようもない切なさを感じさせる。空に取り込まれてしまった少女、100%の晴れ女という設定は、それほど興味をそそられなかったけれど、ストーリーが進むほどにどんどん引き込まれていった。色々と無茶なところはあるけれど、シンプルでストレートな帆高から陽菜への愛が、有無を言わさず心に突き刺さった。良いと思えるものは無条件に良いんだよなと改めて感じさせられた作品でもあった。音楽の使い方とテンポの良さは相変わらず素晴らしい。異常気象のシーンは現実でも問題になっていることで、リアルな描写はあながちファンタジーだけとは言えないところがあった。人柱という古い時代のしきたりを現代的に甦らせた作品でもあり、よく練られた設定だなと感じた。家出して東京に出てきた高校生という現代的な問題も扱っており、ただ泣ける純愛作品というだけでなく、色々と考えさせられる映画でもあった。
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