ふぇ

天気の子のふぇのネタバレレビュー・内容・結末

天気の子(2019年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

雨が続く東京を舞台にした、家出少年と空を晴れにする能力を持つ少女のひと夏の物語。

どんよりとした雨降りの東京の街、多様な表情を見せる空の画は非常に美しい。声優も皆さん自然ながらも印象に残る声の持ち主。
登場人物それぞれに孤独や喪失を背負っているところがあるのだが、その過去の描写もほどよい情報量。賛否はあるが想像し共感する余地を残してくれている印象だった。

内容的にはモノローグの多さ、ヒロインに性癖が詰め込まれている感、セカイ系、などなど、『星を追う子ども』以前の新海作品を彷彿とさせる点が多い。『君の名は。』で大衆を制した新海誠とRADWIMPSが、良い着地地点を探っているかなという感じがした。

『君の名は。』は結果的に主人公が世界を救う物語だった。だが、本作の主人公は最後、世界ではなく、ただ1人の大切な人を選択する。
どちらもSF要素が強く、人vs世界の構図に落とし込める作品ではある。だがあくまで描きたいのは、どこか普遍的な孤独感や、だからこそ生まれる「人と人の物語=1対1の個人的な物語」なのだと、今作では主張しているような気がした。
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