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天気の子のHSのネタバレレビュー・内容・結末

天気の子(2019年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

思春期にセカイ系に大ハマりしていた身としては、「愛にできることはまだあるよ」というエンドロールの締め方に涙ぐんでしまった 大人の「おまえたちの行動くらいで世界のかたちを変えてしまったなんて思うんじゃないよ」という言葉に一旦納得して、そこから「違う、たしかに自分たちの行動が世界に影響を与えたんだ!」と主人公自身のモノローグでひっくり返すのがすごくよかった。モノローグのよさは前半から感じていて、雨の日を晴れにすることで人の心がこんなにも動くんだ!と気づけたときの長台詞があれば、穂高くんのバックボーンとか別にいらねえなと私は思った。穂高もひなも、自分が世界に手が届かない、世の中に影響を及ぼせないちっぽけな存在だってことに気づいていて、それを脱したかったってことなんだよね。終盤の須賀さん、奥さんとのことももちろんだけど、自分なんか何したってどうにもならないって諦めていたのを振り払ってアクションを起こして、それがちゃんと世界に影響してるっていうのがいい。私がいわゆるバッドエンドが好きなのは、どうにもならないことに一生懸命向き合うプロセスが描かれるから。どれだけ頑張りが裏目に出ても、物語冒頭から全部失敗するってわかってたとしても、それでももがく人の姿を観たいと思うから。セカイ系作品の多くはバッドエンドに着地して、形が変わった世界は静かに滅んでゆく、みたいな方向にシフトして終わる。でもこれはそうじゃない、形が変わった世界の中でも、ひとの営みは続いていくよという着地。もがいた結果がだめでも、まだもがき続けてたくましく笑って生きていく、セカイ系の世界で無視されていた大衆の人生まで肯定したのが、このジャンルの新しい可能性を見た気がしてすごく嬉しかった。このジャンルがこんな大衆向けのエンパワーメントになるなんて、なんとなくくすぐったい気持ち。むかしインターステラーの話をしていた映画好きおじさんが「あそこまでやるならもはやロジックはいらない 愛だけで殴ってこいよ!」と憤慨してたのを聞いたことがあり、その点マジで愛だけで殴ってきてたのがこの映画だったと思うのでそこもいい。前半は一貫してリアリテイを重視した描写で話が進むけど、穂高がひなへの想いに気づいてからは、想いが強くなるほどアニメ的演出も加速する。バイクは水の上を走るし、落とした拳銃はいざってとき手元にあるし、ピンチのときに仲間は集合するし、ありえないことだらけ。でも、それがどうした!っていうエネルギーの爆発がよかった。こういうの好きだからしょうがないよね、劇団☆新感線のオタクなので。あとラストに音ハメでドンと出るタイトルバック興奮しすぎて泣いちゃったよね、劇団☆新感線のオタクなので!!!!わたしはこの映画メッチャ好きです もう一回くらい映画館で見てもいいかも。
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