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天気の子のyのネタバレレビュー・内容・結末

天気の子(2019年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

大人/嘘/建前/社会といった、自分を取り巻く環境から抜け出し、孤独であれど純粋な幸せを掴みたいと願う。そんなライ麦畑~的な若者の反抗を、「天気を操る」神事の代行者かのような役割を持つ少女との邂逅で描く作品が面白くないわけがない。新海誠&コミックス・ウェーブ・フィルムの圧倒的なクオリティのアニメーションが非日常的な日常に現実味を帯びさせ、東京という街に確かに彼らがいたかのような説得力を与える。精緻に再現された東京の風景や、プロダクト・プレイスメントされた慣れ親しんだアイテムやロゴによって高まる没入感。だからこそ、その中に紛れ込む異物としての拳銃が作る凶暴なリズムが、作品のテーマに合致していてすごく良い。(拳銃でもなければ、彼等のような歪な選択をすることはできない。)
いわゆるセカイ系に分類される作品なのだろうが、世界を守るなんて言ってない。本当に大切なもののためなら、世界がどうなろうと構わないと自分も思う。天命を背負った者が犠牲になることを拒否するという、喜劇的で身勝手で傲慢な選択に対して神は罰を与えることは無く、むしろ「壊れた訳ではなく、世界が元に戻っただけだ」という言葉によって救いを見出すところが凄い。これ程に土砂降りにカタルシスを覚える作品も珍しいと思う。
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