そーる

2分の1の魔法のそーるのネタバレレビュー・内容・結末

2分の1の魔法(2020年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

こんなにちゃんと切ないとは思わなかった。
父を知らない弟と3つだけしか父との記憶のない兄のロードムービー。
1日だけ父を蘇らせることができる呪文を唱えるために2人は旅をする。

主人公である弟イアンは、
父に対して強い憧れと尊敬を抱いている。
16歳の誕生日に『父のように大胆に生きる』と誓い、チェックリストを作り学校へ行くも踏んだり蹴ったり。
また、弟想いの変わった兄を疎ましく思っている。

とにかく兄の父性が大きくて優しくて。
夕暮れに下半身の父と2人、
父としたい事のチェックリストを消していく中で、どれもこれも幼い頃から兄が一緒にしてくれていた事に気づくシーンに涙が止まらなかった。

最後は自分のためではなく、
家族のために立ち向かったイアンは
瓦礫に埋もれてしまい夕暮れに消えゆく父と兄を遠くから見つめることしかできなかった。
このシーンを持ってきたディズニーの演出に脱帽。

そして視聴者である我々もイアンと全く同じ目線で最後は見る事になる。
父と兄が何を話しているかわからない。
ずっと望んでいた父の温もりを感じることもできない。
父と兄が抱きしめ合い、父は消えてゆく。

お父さんはなんて?
と聞くと兄は、
お前にこれをって。
と兄に抱きしめられるシーンでこの旅は締め括られる。
父という存在が兄に継承され、主人公に届く。
父と兄、父と主人公、兄と主人公。
3人がみなここでひとつになる。

本当に心から温かくなれる作品だった。
そーる

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