オヂサン

2分の1の魔法のオヂサンのネタバレレビュー・内容・結末

2分の1の魔法(2020年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

モンスターズユニバーシティの監督が舵を取った作品。それは好きだ、好きなはずだ。

映画館で観れば良かったと後悔した映画ナンバーツー。てっきり予告編通りの映画なんかなあと思って全く期待していなかったのですが、久々に冒険映画を観て少年のような心が騒いでしまった。ここ最近のPixarらしからぬ冒険だった。ドラゴンとかエルフとか魔法とかたまらん…!

ちゃんと冒険をして、
当初の目的も果たして、
友情も手に入れた。

こんなにも多種多様な種族が居て、あからさまに昔は魔法も使っていましたよという世界観なのに「魔法なんて廃れた文化だ、馬鹿げている。寓話だ」と言い切るかのような皮肉。

バーリーも序盤は大学にも行かねえダメなウザイやつ、だったのが終わる頃には誰よりも頼りになる兄貴で家族で父親で親友なのだ。バーリーがファンタジーヲタクでよかった…というかあれだけの知識を溜め込んでいたのが凄すぎる。

原題は「Onward」前へ進む、前進するという意ですが放題の「1/2の魔法」の意味がよく分かっていなかった。けれど観終わる頃には腑に落ち、ぴったりだはないか!と驚いた。

イアンは魔法が使えても恐れが強く自信が無かった。バーリーは恐れがなくても魔法が使えなかった。バーリーがいなかったらイアンは「自分には出来ない」と思い込んで魔法は使えなかったし、イアンがいなかったらバーリーも旅が出来なかった。
そんな2人が一緒に旅をする事でお互いを補って旅をし、一つの目的を果たした。
イアンは今居る大切な人を改めて理解して、バーリーは父にさよならを言えた。

2人が冒険をしていく上で自信をつけていき、何よりもかけがえのない思い出と絆を手に入れた。それが父からの誕生日プレゼントであり、素晴らしき人生の幕開け。そしてどちらかが欠けていたらなし得なかった、2人だからこそやり遂げられた魔法なのだ。1人ではなし得なかったはず。1人ではダメだったのです。

この映画の何が素敵かというと魔法を胡散臭いと切り捨てて全てを楽な物に頼り切るのではなく、少し魔法を足すだけで人生が華やかに楽しくなるという事。何も全てを「嘘だ、現実を見ろ」と現実的になるのではなく、多少なりとも優しさを含めて夢を見させてくれるものを人生に取り入れ残しておく事は悪い事ではない。
オヂサン

オヂサン