煙草と甘いコーヒー

2分の1の魔法の煙草と甘いコーヒーのレビュー・感想・評価

2分の1の魔法(2020年製作の映画)
3.9
子供たちに、見ようよと誘えども誘えども、いつも2番手3番手に回され続けてきたのだが、連休に家で映画でも、となった時に、コレといった候補がなく、渋々見てもらえることに。

タイトルや映画のチラシからの印象では、落ちこぼれ魔法つかい二人組が、力を合わせて、、、だとばかり思っていたので、のっけから意外な設定に「ふむふむ、それでそれで?」と惹きつけられていくことに。

いやはや、やはりピクサー、ここにあり!

見事なお手前、美味しゅうございました。

それにしても、なんで、子供たちや妻は、あれほどまでに「コレはいいかなぁ、、、」と敬遠し続けてきたのだろうか。

メインキャラクターの中にキャッチーなビジュアルのキャラがいなかったからか、ホラー感あふれるチラシが原因なのか、タイトル名がイマイチなのか、「ふーん、魔法ねぇ」ってことなのか、海外アニメに食傷気味だったのか、、、と、原因はいまだにわからずのままとなった。

それにしても、クライマックスでの、これでもか! というロングショットは、ニクいくらいに良かった。

魔法はさておき、文明の発達とともに失われていく人間の動物的能力。

養老孟司の本で読んだが、本来、すべての人間には絶対音感が備わっていて、人間的な生活を身につけていく過程で、その感覚を失ってしまうとのこと。それは、コミュニケーションを取るにあたり、人間は、音程よりも言葉が重要であり、というか、言葉の意味を理解するときに音程は邪魔なので、音程を気にしない、意識しない、ということを毎日毎日繰り返すことで、気づけば、絶対音感は喪失されてしまう。逆に人間以外の動物たちは、言葉を使わず鳴き声で情報を伝え合うので、絶対音感が必須であり、多くの動物が絶対音感を持っているとのこと。稀に絶対音感を持っている人がいるが、それは、幼少期から音楽を通じて、音程や音階を感じさせる訓練を受けることで、本来備わっていた能力を失わずに済んだだけであると。

音に限らず、いくつかの感覚も、現代人は喪失、もしくはその能力をほとんど活用することなく暮らしていることを知ることで、自然や動物たちを軽んじたり見下したりすることを改めることができるのではないか、と思ったわけだが、蛇足が過ぎるので、終了。