コンテナ店子

2分の1の魔法のコンテナ店子のレビュー・感想・評価

2分の1の魔法(2020年製作の映画)
4.0
トムホランドとクリスプラットで釣ろうとしてる映画なのではないかと不安を抱えて映画館に入りましたが、想像以上に素晴らしかったです。キャラクター、映像、アイデア、脚本、演技、すべてが高水準で揃っている上に明るく楽しい冒険要素と正反対の人間が抱える人間らしい悩みをちゃんと映していたので誰にでもお勧めできる映画だと思います。

色々良い所はありましたが、中でも一番伏線回収が素晴らしかったです。個人的に映画の伏線回収はあまり好きではないのですが、それは伏線の登場があからさますぎてストーリーが先読みしやすかったり、それが映画で一番見せたい物になっていて、その中にある世界が芝居のために作られたもののように感じやすくなってしまうことが多いからです。
ですが、この映画の伏線は彼らの冒険や日常の中で自然に出てきたり、ストーリーや人間性の成長過程として必要な物として出てきたりしていて回収がなかったとしてもおかしくない登場をしていた上、その回収もちゃんとキャラクターにとって意味のある回収のされ方になっていることが多くて、映画の中にいても全然違和感がありませんでした。そのおかげでかなり驚くことが多かった上に感動もさせられました。

映画の中で中心になっている2人のキャラクターも良かったです。主人公は特別な出会いから内気な自分の殻を突き破るというけっこう他の要素と複合された青春ドラマあるあるな感じでしたが、その突き破り方が周りに背中を押されつつという形ではなくて自分から動くことがけっこう多くて、本当は最初から突き破りたかった願望を持ってたことへ応援する気もかなりわきました。
冒険家で主人公を応援する兄貴もただ主人公を応援するだけじゃなくてその内面にもけっこう色んなものがあって、それを理解したうえでの2人の絆という意味で個人的には好きでした。

ただ、映画全体でキャラクターの感情の変化と冒険をよく描いていただけあって、あんまりそれと関係ないシーンが1カ所あったのが悪目立ちしてしまっていたと思います。一応ちょっとは関係ありましたし、後々伏線として活きてはいましたが、ちょっと面白そうなアイデアが出て来たと思ったらすぐうやむやになってしまっていて、その場ではちょっと疑問が浮かんでしまいました。

たぶんディズニーにしてはそこまでお金をかけていないというか、規模がけっこう小さく感じる話ですが、独特な世界観で見ているだけでもけっこう楽しいですし、キャラクターの内面に寄り添っていて彼らの事も応援することが出来ました。モアナとかと雰囲気が似てたのであれが好きな人にはかなりお勧めです。
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