YusukeHorimoto

火口のふたりのYusukeHorimotoのレビュー・感想・評価

火口のふたり(2019年製作の映画)
3.8
⭕️初見

2019年キネマ旬報ベストテン1位獲得作品ということで鑑賞。

各レビューなどを見ていた感じ、あんまり期待しない方が良いかなぁとか思いながら観たけど、思っていたより良い作品でした。
確かに、単純に内容を楽しんで観たいだけの鑑賞スタイルだとちょっと厳しい感じはしたけど…。

まず、通常の2時間映画で登場人物が2人しかいないという演出は、そう簡単にできるものではないということ。
主演を演じた2人の体当たりの演技には感銘を受けました。
特別難しいようなシーンはないように思える日常的な演出ばかりに思われますが、長尺ワンカットが多く、間の取り方などのテンポ感は凄く良かったですね。

この映画では官能的なシーンが多いので、そればかりに印象がいってしまうというのがあって、それに関しても、作品を表す大きなインパクトとして個人的には丸。
内容からして、根本的なサブカルオーラを官能的な演出で妥協なく表現できていたと感じたのは大きい。

表面的に観た段階で、上記をクリアできていれば内容はともかく、良くできた映画として評価されるような気はする。

付け加えて、この映画では、性欲に行きがちな視点かと思いきや、その他大欲求と衣食住の描写が丁寧にされていた。
特に食事のシーンは多く、ヒロイン側の新居をベースに互いの実家にも行くシーンがあり、これはとても丁寧ですなぁと感じる。

後、個人的に良く感じた点として、淡々とトークしているシーンでの演出。
久しぶりに出会ってから、ヒロインの新居に初めて行くシーンまでは導入として、それ以降での“話す”シーンでは、実は話している内容以外のところに着目してしまうような演出がされていたのが、良かった。
互いに全裸だったり、食事をしていたり、夥しい数の風車が回っていたり、様々な演出がされていて、それを観てるのは結構楽しかった。
付随して、話している内容も徐々に気になっていったので個人的には良い演出のように感じた。

その他、キャラクター設定や言葉遣い、震災についての話や富士山噴火のラストに関しても分析し甲斐はある作品かと思います。ちょっと普通に談義したいもんね。

そんな感じで。

総じて、サブカルすぎる。
映画好きは観ていて楽しいようなところは多い気がするけれど、特に主演の2人のファンは観るべき作品といったところでしょうか。

《好きなシーン》

この映画で唯一派手なお祭りのシーン。
少し高めのアングルからお祭りの風貌が見えるカットからの一連の流れかな。最後の夜ということもあって、見所だなぁと感じた。
YusukeHorimoto

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