ペジオ

ビッチ・ホリデイのペジオのレビュー・感想・評価

ビッチ・ホリデイ(2018年製作の映画)
3.9
休日にまで仕事すな!

邦題やジャケットから『スプリング・ブレイカーズ』みたいなパリピ映画かと思ったら、『父の秘密』や『ザ・トライブ』みたいなFIX長回しで暴力映す系の映画だった
わかりやすくショッキングなシーンは2箇所ぐらいなのだが…どうやって撮ったのだろう?(一個目は「実際にヤる」事で可能だろうが、二個目は…まあこっちもきっと「実際にヤった」んでしょう。)
アイス屋での列でナンパに挟まれる地元(?)の若者のそれっぽさとかの「モブの芝居」を楽しめるのもFIX長回しの良さ

「ギャングの情婦」という現実的にも映画史的にも「男の添え物」みたいなポジションの「職業」
男に尽くす…男に支配される…ヴァカンスに来ていても求められているのは普段の業務内容と同じだろう
なんでそんな事してんのか?…仕事なら当たり前だが「報酬」があるからで、それは「インスタ映え」する様なライフスタイルの提供である
物質的には満たされていようとも、本心では空虚なその生活から脱け出したいという気持ちもあるのだろうが、それを邪魔しているのは甘い蜜を吸い慣れてしまった自分自身という皮肉
「転職は慎重に」じゃないが、少なくとも「誰か救ってくれないかしら」みたいな心持ちでは何も変わっていないし、裏切られても仕方ないと思うよ

ギャングの男は主人公の行動のどこまでを「支配」していたのだろうか?
ラスト手前で帰宅した主人公への対応は「全て分かっていた」様に見える
「理解」という「支配」のかたち…

実際「空っぽ」な映画だと思うが、その「空っぽ」は意図したところだとは思う
きっと主人公はこれからも「呼ばれればいつでも笑顔で振り向く」生き方を続けていくのだろう(こう書くとまんざら悪い生き方でもない様に聞こえるな。)
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