せりな

クーリエ:最高機密の運び屋のせりなのレビュー・感想・評価

4.5
やっと日本でも公開だよ!
どうしても見たかったので、試写で見れて嬉しい。
映画館でも見るけどね。

キューバ危機の際に、KGBに悟られないように情報を運ぶ人物として白羽の矢がたったセールスマンの物語。
スパイとして機密情報を運ぶ緊張感の他に、ウィンとペンコフスキーとの友情物語でもあり奥行きのあるストーリーと重厚感のある映像で最後まで集中して見ることができました。

陽気な雰囲気のあるセールスマンが、核戦争の行く末を左右する任務という重圧に追い詰められていく様、ペンコフスキーの為に命がけの決断をするところまで、カンバーバッチの演技はどれも素晴らしく、苦境に追い詰められた人物を演じさせると光る人だなと改めて思いました。
チャーミングな演技も最高なんだけど、辛い目にあう方が演技力の高さが際立つんだよね。

体当たりで演じているので、どのシーンも必見です。
実在のウィンさんは、モスクワから帰国した時にわりと陽気な感じでインタビューに答えていて、メンタルがかなりタフな人だったんだろうな。
あの状況でやつれた雰囲気もなく明るく会話できる人なんてそうそういないよ。だからこそ、キューバ危機を止めてイギリスにも帰国できたんだろうな。
奥さんも辛かっただろうけど、気丈に振る舞い続けていて彼女も強い人だった。演じているのは若手実力派のジェシー・バックリーなのでとても良いです。
キャスティング・ディレクターがニーナ・ゴールドなので、本当に良い役者が揃っています。
ペンコフスキーを演じるメラーブ・ニニッゼも自身の信念と友情とを秘めた演技が素晴らしい。
ニーナ・ゴールドの役者を見るセンスの高さを実感しました。


冷戦当時のことはリアルで知らないから、当時の緊張感はピンとこないんだけど、当時のソヴィエトの情勢とかKGBの恐ろしさなんかは他の映画などで知っていたのは良かったかな。
『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』なんかは、モスクワ以外のソヴィエトの現実を描いているのでオススメです。

この当時のソヴィエトはフルシチョフが最高指導者なんだけど、スターリン葬送狂想曲のブシェミさんがチラついてしょうがなかった。
実際のフルシチョフに似ているのは、こっちの役者さんなんだけども。
あと、モスクワに最初に行った時に食べていたトーストに乗ってるのってキャビア?あんなに大量に乗せるものなの?

あと、Sunny Marchのロゴが出る作品を見れて嬉しかった!
せりな

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