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童年往事 時の流れの毱のレビュー・感想・評価

童年往事 時の流れ(1985年製作の映画)
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侯孝賢自らの声によるオープニングのナレーション。
主人公のアハの成長を描く作品。
お金を、家の前の道に隠したもののそれを盗まれた小学生の頃のアハ。
当然ではあるものの怒られた彼が申し訳なさそうにご飯を食べ、贖罪のようにお皿を洗う姿と、その姿に「大丈夫だよ」という祖母の姿が印象に残っている。
父、母、そして祖母の死……。年齢的な順番で訪れるわけではない三者三様の死(書いた順番で訪れている)。その死を弔う人々のグラデーション。父の死には母が咽び泣き、咽頭癌におかされた母の死にはアハ(だったと思う)が静かに泣いている。老衰で——すなわち天寿を全うしたとも言える祖母の死は、一般的にイメージされる「穏やかな死」とはかけ離れている。先の二者とは異なり、その屍には蠅(?)がたかり、身体はただれている。これだけ「死」が描かれる映画であろうと、その「死」は、どれとして同じでない。そこにある差異は、対象(死者)への愛情の違いではなく、その年代の「死」への隔たりだと不思議と思える理由を、この映画を再見してまた確認してみたいと思う。

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・鳥殺し=運命を変える?
・やや低めからの小津的ショット
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