風来坊

エア・ストライクの風来坊のレビュー・感想・評価

エア・ストライク(2018年製作の映画)
2.0
日中戦争下の中国。戦略的重要拠点の重慶が日本軍に爆撃され危機を迎える中、アメリカ軍のジャック・ジョンソン大佐が中国軍の空戦部隊を指揮する事に。90億円の巨費が投じられた中国製の戦争大作。

いわゆる日本軍の重慶爆撃を描いた映画で敵は日本なので、当然の如く反日本思想と中国共産党のプロパガンダに溢れる作品となっています。
プロパガンダに関しては戦争映画とかミリタリー映画は、そうなりがちな側面があるのでお互い様で仕方ない。
中国軍や連合軍の都合の良いように描かれていますが、まあこれもそういう映画なので…。

反日どうこうより90億円を投じて、第二次世界大戦で連合軍が勝利して70年の節目の記念作品で、ハリウッドスターを看板にして、メル・ギブソンを美術顧問に迎えてこの程度なのかという残念さが際立つ作品。
本国では大作映画で話題性もあって公開までのカウントダウンが迫る中、出演していたファン・ビンビンの脱税疑惑で中国公開が中止になるという可哀想な映画でもある…。

とにかくテンポが悪いですね…。気分的にはもうそろそろ終盤かなと思ったらまだ30分しか経ってなくて笑いました(^_^;)
詰め込み過ぎてごちゃごちゃしていますし、話にメリハリもなくかなり飽きてきちゃいます。終始に纏まりがありません。

こういう映画ならもっと吹っ切って、臭いくらいドラマティックにして国民感情を煽って反日本に傾けなきゃいけないのでは?何にしても中途半端で問題提起にもなっておらず残念。

ジャケットにブルース・ウィリスさんがデカデカと載っていますが、まあまあ出番はあるけどウィリスさんは主演ではないですね。そもそも誰が主演なのかハッキリしない…。
確かに大佐として存在感はあるけど、彼である必要性は感じませんね。
これでも90億円の内の数億はギャラで持って行ったんだろうな(笑)

もっと酷いのはジャケット左に陣取るエイドリアン・ブロディさん。ほとんどワンポイント起用なのにジャケットに載っちゃうのか…。ファン・ビンビンさんもチョイ役なので、公開中止にするほどかなと思う。出演シーン、削ろうと思えば削れたと思いますし。

大作映画は伊達ではなく、少し粗いがCGを用いた空戦シーンはかなりの迫力。宙返りなど戦いのバリエーションも多い。美術顧問のメル・ギブソンの手腕か日本軍の指令部のセットやその他の小道具は史実に合ったものでしっかりしていて違和感はないです。

カタコトの日本語は登場しないし、この辺は好感を持てます。空戦のCGはまあ許容範囲ですが、爆撃のCGは力を入れた物と手を抜いた物が、ハッキリと分かってしまい気になりますね。更に爆撃シーンを見せた過ぎて一辺倒になってしまっている印象。まずまずの迫力はありますが…。

日本軍は四六時中やみくもに爆撃しているように見えます…。戦略的にはあり得ないんじゃないでしょうか?
編集がスゴく雑で話が飛び飛びに感じてしまうのも難点。

こういう映画ならば日本でも愛国系の人達が反日本だと騒ぐものだと思いますが、そういう話題にならないのも頷けるほど戦争映画として面白味に欠けます。

多数の戦闘機が空を駆け巡る空戦シーンはなかなかの迫力なので、空戦や戦闘機が好きな方やブルース・ウィリスさんの出演のこんな映画があったという話のネタ程度に観るには良いのかなと思います。時間以上に長く感じるので覚悟は必要です。

何なんですか?ラスト前のあの茶番劇(笑)
風来坊

風来坊