雨宮はな

マッスル 踊る稲妻の雨宮はなのレビュー・感想・評価

マッスル 踊る稲妻(2015年製作の映画)
3.0
前半は脳がマッスル、後半はメンタルがマッスル。
映画一本分の時間をかけた前フリの後で、本編(後半)が始まる。

作品はおもに筋肉とロマンスと復讐でできている。
ヒロインの女優がきちんと可愛く、きれいなのが嬉しいところ。インド映画の強みのひとつだと思う。
ミュージカル演出は少なめで、そこまでボリウッド感は強くない。そのシーンだけワイヤーアクションやら何着も用意された衣装やらが、やたらとボリウッド。
ただ民族衣装や独特の節回しの楽曲や、どうしたらそう動けるのかわからないような振付のダンスは今回見当たらなかった。現代っぽくしたと考えられる。

一人の男性の成長、一途な愛がぶれずに描かれているのが素晴らしい。そのさわやかさにとどまらず、受けた仕打ちのえぐさと復讐のえぐさはなかなかのもの。

男からのセクハラや母親からの結婚強要はとうてい現代とは思えないほどあからさまで、人権派を気取っていなくても「すげぇ人権侵害だな」と思わず口に出てしまうほど。
日本人以上の処女マンセー思想にもげんなりする。お国柄といえばそれまでだ。母親の「誰ももらってくれないなら、おじである貴方が娶って」という思考回路もだいぶヤバい。

エンディングではその後の二人が描かれていて、非常にほほえましかった。
治療とリハビリに二人で勤しみ、料理やゲームでキャッキャと楽しむ様子に主人公の快復を祈らずにはいられないし、愛をもって作品鑑賞をしめくくることができる。
雨宮はな

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