もちや

ブラック・ミラー: バンダースナッチのもちやのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

映画を見る時に思っていた、「主人公たちの選択は、エンディングから考えれば妥当だけど、結末を知らない人間は本当にそう選択して動くだろうか?」というフワッとした思いに刺さる映画でした。

映画を鑑賞する私が、主人公の行動を決定できるスタイルであり、その私を天の声として認知する主人公と対峙するというなんとも複雑な構図です。

基本二択から選ばされる訳ですが、どちらを選ぶか?の根拠は私には全くありません。(主人公ならどうするか=彼の人となりを把握できていない。)

だから、まぁ、適当に選んだ選択肢がストーリーになり、主人公が翻弄され、彼はそれを「操られている!」と解釈します。まんまそう言ったり、手を押さえつける描写とかそれです。

けれど、本当に彼は翻弄されているのでしょうか?そもそも彼自身のもつ制約のせい(性格や彼のいる環境に起因するもの)で選択肢は二択まで狭められています。
本当は彼自身そうやって行動したかったんじゃないのか?決められない彼が、別人格の自分を作って甘くささやくだけなんじゃないのか?

そして我々も、さも映画なのに自分でストーリーに選べるなんて、斬新と思わされているけれど、主人公のステファンに誘導されているだけなんじゃないのか?
メタの世界にいると思っていた自分が、実は物語に取り込まれているかもしれない不思議な感覚になる映画でした。
もちや

もちや